ある企業の研修
事ここに至ったからには、何事が起きようとあらゆる責任をとる覚悟を決めた彼は、奥さんたちに、ありのままを伝えました。
「どうして山狩りしないのか」
「万一の事があったらどう責任とるのか」
さらに、「親戚が集まっていま親族会議を開いている」
「警察に訴える」
・・・など、あらん限りの言葉で責めたてられます。
「山狩りはいつでもやれる。しかしあんたの旦那は、これくらいの研修で逃げ出し、山狩りされて見つけられたというんでは、どうやって家に帰れるのか。
父親として子供の前に立てないじゃないか」
・・・と、彼は応酬します。
とにかくこれ以上騒ぎを広げぬよう、なんとか家族を説得した彼は、冷静さを装いつつ、しかし心は地獄の苦しみの中で、残りの7日間の研修を終わらせました。
一方、脱走者の4人は、右往左往する追っ手の懐中電燈の灯を山の上から見ていて、あちこちに散らばって隠れました。
橋の下、大木の下に潜ったもの、お宮のお堂に飛び込んだもの、もう一人は民家の軒先に潜り込みました。
とうとう彼らは、ひと晩を雪の中で過ごしたのです。
そして翌朝、そろそろほとぼりが冷めたかとみて、食料調達に出ました。