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2010年10月 アーカイブ

理想的な自然環境とは

かつて日本では数百年あるいは千年以上の長い時間をかけて、ゆっくりとした町づくり・集落づくりが行われてきました。


自然の開発に際しても、人間は半自然性の生物社会の一員、生態系の構成メンバーとして、十分共存してこれたのです。


したがって川の浄化能力一つを例にあげても、よく古老がいっていたように、川に汚物を捨てても、三間下がれば川の水が飲めたといいます。


それは川に入ったものが生態系の生産者としての植物の落葉であっても、また消費者としての動物の排泄物であっても、川の中には無数の分解・還元者としてのプランクトンや珪藻類などがいます。


それらが、あっという間に分解・還元し、川は自らをきれいにしていたのです。


今日では、川が死に、池にアオコが発生し、海に赤潮がふえています。


それは、各地の川や海岸域の分解・還元能力、水質浄化能力に過大の依存をしすぎていた結果ではないでしょうか。


しかも、浄化能力以上の大量の生活廃棄物・産業廃棄物などが、すべて川や海に流されることに問題があります。


とくに問題なのは、新しい質の物質が捨てられることです。


長い時間をかけてゆっくりと多様なシステムを築いてきたのが現在機能している生態系ですが、その構成物質以外の、今だかつて自然界や人間の生活域になかったような新しい質の化学物質が、市民のさまざまな欲望に対応して、新製品を作る過程においてつくり出されているのです。

自然の浄化力は無限ではない

人間も含めて生物は、ある意味ではかたくななまでに保守的な一面をもっています。


新しい科学物質をすぐに分解・還元してくれるような新生物は出現しません。


たとえば、今まで科学者や技術者は一生懸命この地球上で、水の中、土の中、空気の中に生活している生物で、石油化学製品のビニールを食べて分解・還元してくれる生き物はいないかと探しています。


しかし、ビニール製品をすぐ分解するような生物は見つかりません。


それが今日までの実情です。


それぞれの土・水・大気などの汚染に対する浄化能力を十分科学的に研究・把握しないで、何とかなるであろうという自然の強さ・浄化力などへの過大の期待・甘えがあるのです。


「自然は無尽蔵に私たちに必要な物を生産してくれ、逆に私たちの邪魔物・廃棄物はどこに捨てても、あっという問に分解・還元してくれる」


・・・このような、まだ人間活動がきわめて低い段階であった石器時代と同じような考え方で現代の都市や産業立地に対応しているところに、さまざまな深刻な環境の汚染・荒廃問題の原点がひそんでいるのです。

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